西さがみ・路傍の花 2017年06月09日号

西さがみ・路傍の花 [487] モミジイチゴ -ばら科-

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いわゆる「さくらだより」が、最近はソメイヨシノやヤマザクラを対象にしないで、さらに早咲きの交配種の開花ばかり宣伝され、そのため本来の開花のニュースにも新鮮な響きがない。こうして桜も菊と同様に、季節感のない花になって行くのであろうか。
本来のアズマヒガンやオオシマザクラ・ヤマザクラなどの開花する頃、それらの桜の下を歩くとこのモミジイチゴも白色五弁の花を咲かせていて、上空にばかり気を取られていた私達を、はっとさせるのである。モミジイチゴの花は一菜に一個ずつしか咲かず、そして下を向いたまま花を開いていて、まさに可憐そのものである。
和名モミジイチゴはその葉の形がカエデに似ているからだが、開花の頃は葉は充分展開していない。花が終わるとこのように果実が成熟して、そして橙色で光沢がある。野苺の中では最も美味である。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年06月09日号