ちょっと失礼(人物紹介) 2017年07月21日号

インストラクターとしてカリグラフィーの楽しさを教える
井上 代峰子(よねこ)さん (小田原市在住)

2020/05/07

「多くの人に書くことの楽しさ、面白さを知ってもらいたい」

様々なペンを使ってフリーハンドで美しい文字を書くカリグラフィー。なめらかにペン先を動かし、線の太さや細さ、装飾などで文字の持つ世界観を表す。「いわばアルファベットのお習字ですね」。
カリグラフィーとの出会いは20代の頃。当時は今ほど世に知られていなかったカリグラフィーだが、一人でも多くの人に広めたいと、第一人者である小田原真喜子さんに習う。文字が生まれた時代や地域によって異なる約300種もの基本書体を覚え、コツコツと技術を磨いた。現在は小田原で教室を開くほか、様々なスクールで講師として活躍。数年に1度はアメリカで開かれる世界的なシンポジウムにも参加する。
教室に向かう時など、いつも傍らに持つカバンには、大事な道具であるペンや紙がぎっしりと詰まっている。その重さに耐えられるよう、毎週スポーツクラブに通って体力をつける。作品のアイデアも浮かぶ大切な時間だ。
「カリグラフィーに出会えて本当に人生が豊かになった」と話す。友人への感謝の言葉も、手書きであればその意味をより深く伝えられる。人生の様々な出会いをカリグラフィーが彩ってくれた。
専門職としてカリグラファーが活躍する西欧に比べると、日本での普及はまだまだ。「文字は生き物。新しい表現もどんどん生まれています。これからも色々なことを学んで、今の人たちにも訴えるものを作りたいです」。そう語る表情は意欲に満ちていた。

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