西さがみ・路傍の花 2018年03月09日号

西さがみ・路傍の花 [500] アオキ -みずき科-

2018/03/20

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江戸時代の博物書の『和漢三才図会』に青木の見出しで、「正字未詳。俗ニ阿乎木葉(あおきば)ト云フ」とある。アオキは日本の固有種で中国には自生しないから、漢字名はないのである。
それはともかく同書がアオキバと訓んでいる所が気がかりだ。アオキの学名はアウクバ・ヤポニカでスエーデンの植物学者ツンベルグが命名したものだが、阿乎木波はことによるとアウクバと読むのであろうか。
真鶴から根府川にかけて石屋さんに青木姓が多い。夏の暑い日に一人の石工が作業中、アオキの葉を屋根のように葺いて庇にしていた。徳川二代將軍秀忠の家臣青木伯耆守忠俊は、これを見てその風流心に感心して、汝は以後青木姓を名乘れと命じたという。実はこの石工は板橋の田中善左衛門のことで、すでに家康から石屋の姓を受けているので、その子善七郎から青木を名乘ったという(『新編相模国風土記稿』)。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

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