西さがみ・季節の花ノート 2018年04月13日号

西さがみ・季節の花ノート [No.2] ハハコグサ -きく科-

2018/07/25

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春の七草の一つでその時の呼び名は「おぎょう」だが、その意味はよく分らない。方言としては千葉県や山口県などに隔離分布するので、よほど古い時代の呼び名らしい。
座布団を二つに折って真中を紐で締め、これをたてに据えると猿が座って両手をあげているように見える。掌の上に乗る程に小さくしたものが飛騨髙山などで民芸品として売られていて、その名は「猿ボコ」である。
これを直立させず合せ目を下にして置くと、その姿は這い這いをはじめた頃の幼児にそっくりで、これを「這う児」と呼んだ。けだしこれが人形の原流だ。すると猿ボコもホーコによっているらしい。全国的に方言ではホーコーとハーコとが混在しているから、ハハコグサの原型は這う子であるに相違ない。銀色に包まれた茎や葉に淡黄色の花をつけるこの草の風情は、温かくて這う子をしきりに連想させるであろう。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年04月13日号