西さがみ・季節の花ノート 2018年05月11日号

西さがみ・季節の花ノート [No.3] キブシ -きぶし科-

2018/07/25

Kisetsu_no_Hana_Note-003_Kibushi
髙さ三m内外の低木で春に写眞のような淡黄色の花序を垂れさがらせてつける。西さがみの方言ではマメンブシと呼ぶことが多いが、これは秋に直径一cm内外の光沢のある卵形または球形の果実が成熟するからである。
花が淡黄色なので黄にとらわれて黄藤だなど云うが正しくない。キブシは木倍子の意味で、五倍子に対する和名である。五倍子とはヌルデミミフシというワタアブラムシ科の昆虫だが、ウルシ科のヌルデの葉を刺傷し、その時葉の表面にできた虫こぶのことで、附子とも呼ばれる。中空で味は渋くタンニンを多く含むので薬用とする。昔はお歯黒を染めるのに用い、またインクの原料にもされている。
その五倍子つまり附子の代用として、こちらキブシの果実が用いられるので、それで木倍子の名が生れた。春の花の花序の長いのは雄花で、花序の短い雌花に結実が見られる。
(箱根カルチャー主宰田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年05月11日号