小田原薬剤師会より

小田原薬剤師会より [No.081~No.090]

2016/11/28

[No.090] 腸管出血性大腸炎

暖かい日が多くなってきました。食中毒が多くなる季節です。最近話題になりました腸管出血性大腸菌(O-157やO-111など)による食中毒は外食産業だけの話題ではなく、家庭でも起こりえる事です。感染しても症状が出るまで時間がかかることがあるので感染が広まる危険があります。潜伏期間はおおよそ3~8日と言われていますが、中には10日以上という報告もあります。感染経路は菌に汚染されたものを食べたり、感染患者の糞便で汚染されたものが口に入ったりして起こります。
人から人への感染を防ぐには手洗いが最も大切です。排便後や食事の前はもちろんのこと、特に下痢をしている乳幼児や高齢者の世話をしたときには、石けんと流水でよく手を洗いましょう。患者等の糞便に触れた場合には直ちに流水で十分に手洗いを行い、逆性石けんまたは消毒用アルコールで消毒を行うと良いでしょう。
そのほかにも菌をつけないために食器、器具類(包丁やまな板など)の洗浄、消毒、乾燥を十分にしましょう。また、75℃で1分以上加熱すると腸管出血性大腸菌は死滅するといわれていますのでしっかりと加熱調理しましょう。
詳しくはかかりつけ薬局に相談して下さい。正しい情報でしっかり予防したいですね。
(2011年05月27日号)

[No.089] 飲みすぎには注意

2010年も押し詰まってきました。年末年始はお酒を飲む機会が増える時期です。
お酒には当然アルコールが含まれています。アルコールは消化酵素による代謝を受けず、胃で20%、腸で80%吸収されます。よく「すきっ腹で飲むと酔いが早くまわる」というのは胃内容物がない場合にアルコールがすぐに腸に到達してしまい早く吸収されてしまうためです。食事やつまみをとりながらゆっくり飲むと、胃にとどまる時間が長くなり、アルコールの吸収が遅くなります。このため血中アルコール濃度も緩やかに上昇し、アルコールの代謝も進みやすくなります。吸収されたアルコールは、主に肝臓でアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解されます。
このアセトアルデヒドは飲酒による顔面紅潮、動悸、頭痛の原因であり、また二日酔いの原因にもなる物質です。つらい二日酔いになってしまったら…こんな時も掛かりつけ薬剤師やお近くの薬局の薬剤師に相談してみて下さい。症状を和らげるお薬を紹介してくれると思います。
(2010年12月24日号)

[No.088] 胃薬の話

食欲の秋がやってきましたが、胃の具合が悪いと楽しめませんね。
そんな時に役立つのが胃薬ですが、一口に胃薬と言っても色々な種類があります。
食べ過ぎや胃もたれには、消化を助ける消化酵素の入った薬を食後に服用します。胃の粘膜を保護する薬は、胃の痛みやむかつきに用います。食前や食間(食事と食事の間の空腹時)に服用すると効果的です。胃酸の出過ぎを抑える薬も同様の症状に用います。食後や症状が出た時だけの頓服、寝る前等に服用します。他に味や香りの刺激により胃の働きを活発にする健胃薬と呼ばれる薬もあります。苦いからと言ってオブラートに包んで服用すると効果が弱くなってしまいます。
お薬は症状に合った使い方をしないと十分な効果が得られません。
お薬のことは掛かりつけ薬剤師やお近くの薬局の薬剤師に相談して下さい。
(2010年09月24日号)

[No.087] 感染症にご用心

昨年大流行した新型インフルエンザが、今年の秋以降にも再び流行すると言われています。昨シーズンの小児の新型インフルエンザ感染率は50%に達していないと言われており、次回流行時にも多くのお子さんがインフルエンザに感染するものと思われます。昨年と同じようにマスクや消毒薬などの物資が不足することも考えられますので、いまの時期から必要な物を準備するなどしてインフルエンザの流行に備えるとともに、日頃からうがい、手洗いを習慣づけておきましょう。
現在、神奈川県では小児(主に4歳以下)の夏かぜの代表的疾患であるヘルパンギーナが流行しているようです。突然の発熱に続き、口の中に出来た水包が破れてのどが痛くなるといった症状を特徴とします。多くの場合、予後良好な疾患ですが、まれに合併症を起こすことがあると言われています。小さなお子さんのいる保護者の方はインフルエンザ予防と同様にうがい、手洗いなどの感染症予防をこころがけてください。
(2010年07月30日号)

[No.086] 急性胃腸炎を広げないために

寒い時期になると低年齢児や高齢者で下痢嘔吐症が多く見られます。冬季の下痢嘔吐の代表ウイルスとしてノロウイルスがあります。
ノロウイルスは「はしか」などのように一度かかったら生涯かからない訳ではありません。なぜならノロウイルスと言ってもいろいろな種類があるからです。
感染を広げないようにするための基本は手洗いです。手指は石鹸を使い十分にこすり洗いし、水で洗い流しましょう。
感染者の嘔吐物や便は放置せず、すぐ片付けましょう。放置し乾燥したものが空気中に飛散してしまうことがあり、それを吸ってしまうと感染するおそれがあるからです。
ノロウイルスの消毒方法で、効果があるのは次亜塩素酸ナトリウム(ハイターやミルトンなど)と加熱です。消毒用アルコールはあまり効果がありません。加熱消毒は、熱湯(85℃以上)で1分以上加熱しましょう。
次亜塩素酸ナトリウムの濃度や嘔吐物の処理の方法など詳しいことはお近くの薬局で聞いてみてください。きっと詳しく説明してもらえますよ。
正しい情報を得て感染を最小限にしたいものですね。
(2010年03月26日号)

[No.085] インフルエンザ治療薬

新型インフルエンザは季節性インフルエンザと同様に突然の高熱、咳、のどの痛み、倦怠感、頭痛や鼻みず、鼻づまりなどが主な症状ですが、下痢などの消化器的な症状も多いと言われています。
治療においても季節性と同様、抗インフルエンザウイルス薬として主にタミフルとリレンザという薬が用いられています。タミフルには大人向けのカプセル剤と子供向けのドライシロップ製剤(粉末)がありますが、現在、ドライシロップ製剤が品薄状態になっており、大人用のカプセル剤を調製して粉末にする場合が出てきています。このような場合には苦みを軽減するためにチョコレートアイスなどの甘く冷たいものやココアなどに混ぜると飲みやすくなると言われています。
一方、リレンザは粉末の製剤で専用の器具を使って吸い込む薬(吸入薬)で、大人も子供も同じものを用います。気管支ぜんそくなどがある方は吸入によりぜんそくの症状を引き起こす可能性があると言われているので、そのような方は受診時に予め申し出ておくとよいでしょう。
ともに体内でのインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬ですので、もしインフルエンザに感染してしまい、これらの薬を使用する場合には医師の指示に従ってきちんと服用するようにしましょう。これらの薬に関して疑問があればかかりつけの薬剤師に尋ねてみてください。
12月に入ってから落ち着いてきたとはいえ、現在も新型インフルエンザが流行しています、感染を防ぐためにもふだんのうがい、手洗いを心がけましょう。
(2009年12月25日号)

[No.084] 季節の変わり目はヘルペスにご用心!

天候不順で暑かった夏も過ぎ、過しやすい季節になってきました。夏の疲れから体調を崩してはいませんか。疲れが原因になる病気にヘルペス・帯状疱疹があります。
季節の変わり目等体調を崩した時に起こりやすい病気です。ヘルペス・帯状疱疹は普段体内に潜んでいて免疫に抑えられているウイルスが、体力が落ち抵抗力(免疫)の低下した時に増殖し、炎症を起こすもので日和見(ひよりみ)感染と言います。帯状疱疹のウイルスは水疱瘡のウイルスと同じものですので水疱瘡にかかったことのある人なら誰にでも起こる可能性がある病気です。ヘルペスや帯状疱疹にステロイド含有の炎症止めの薬を塗ると悪化することがありますので注意して下さい。また、帯状疱疹は冷やすと痛みが強くなり神経を傷めることがあるので冷やさないようにして下さい。
治療には主にウイルスの増殖を抑える内服薬を用いますが、医師の処方が必要です。
唇の周囲にジュクジュクした炎症が起きた、体に並んだ発疹が出てピリピリと痛むといった症状が出たら、早めに医療機関を受診して下さい。なお、医師に口唇ヘルペスと診断され治療を受けたことのある方には処方せん無しで買える塗り薬があります。
かかりつけの薬局の薬剤師又はお近くの薬局の薬剤師に相談してみて下さい。
(2009年09月25日号)

[No.083] 消毒剤の使い方

新型インフルエンザの影響から、お店や公共施設に消毒剤のスプレーが置かれていることも多いですね。
この消毒剤スプレーには「消毒用エタノール(または消毒用アルコール)」というものがよく使われています。
エタノールは約70%で消毒効果が最大になるので、予めこの濃度に調製されているのです。ですから、濡れた手や水が付いているものに吹き付けたらエタノールが希釈されてしまい、あまり効果を発揮しません。手を洗った後によく拭いて、また消毒したいものの水分はよく取り除いてから使用しましょう。手を消毒するときは手のひらだけでなく、手の甲や指の間にも吹きつけ、そのまま自然乾燥させます。手指専用の「速乾性擦り込み式消毒剤」も同じです。消毒用エタノールは即効性があり、インフルエンザウィルスや多くの細菌に効果がありますが、食中毒の原因となるノロウィルスにはやや効果が弱いです。ノロウィルスには塩素系消毒剤が有効で、こちらは適正濃度に薄めてから使います。
もちろんどんな場合でも最初から消毒剤に頼らず、まずはきちんと水でよく洗うことが基本です。その後で適切な消毒剤を選んで正しく使いましょう。わからないことがあれば、薬剤師に相談してください。
(2009年07月31日号)

[No.082] 新しい医薬品販売制度が、6月から始まります

OTC医薬品(薬局等で市販される医薬品)の含有する成分を、副作用、相互作用(飲み合わせ)、使用方法の難しさ等の項目で評価し、右下表の3つのグループに分類します。
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販売時には「第1類医薬品」では、薬剤師が対面で、文書により、医薬品の効能・効果や服用方法を説明するよう決められていて、薬剤師でなければ扱うことができません。また、「第2類医薬品」は、薬剤師や登録販売者(薬剤師ではないが、各都道府県から許可された販売者)が対面で効能・効果や服用方法などの情報を提供する努力義務が課されています。
基準薬局は、薬剤師会が定めた多くのチェック項目をクリアした薬局です。
皆様に安心してお薬を提供できるよう、日頃より努力しています。分からない事や不安など「かかりつけ薬局」の薬剤師にぜひご相談ください。
●第1類医薬品
OTC医薬品としての使用経験が少ないものや副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの。
●第2類医薬品
安全性上、注意を要するもの。またこの中で、特に注意を要するものを指定第2類医薬品とする。
●第3類医薬品
副作用、相互作用などの項目で安全性上、多少注意を要するもの。
(2009年04月24日号)

[No.081] ジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許満了後に、有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が先発医薬品と(※)同等であると厚生労働省に認められ、製造・販売される医薬品です。
メリットはなんと言っても値段が安いことです。おおむね先発医薬品に比べ約半額になりますが、窓口で負担する金額が半額になるとは限りません。また、ジェネリック医薬品と先発医薬品では、主成分が同じでも添加物や製法が異なるため、薬の効き方や副作用などに変化が現れることもありますので、ジェネリック医薬品を希望する場合はかかりつけ薬局の薬剤師とよく相談しましょう。
※先発医薬品と用法、用量、効能、効果が一時的に異なる場合があります。
(2009年03月27日号)

-小田原薬剤師会より