西さがみ・路傍の花 2017年03月17日号

西さがみ・路傍の花 [481] ハコネシダ(ハコネグサ) -ほうらいしだ科-

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最近急速に分布を拡大しているホウライシダと、よく混同されている。箱根でも各地でハコネシダと呼ばれているものが、よく見るとこのホウライシダであることが多い。蓬莱国とは台湾の古称で、台湾を歩くと、まさにこのシダは到る処に繁茂している。
これに対して、ハコネシダは写眞のように葉が小さく、その葉の一箇をみると質は固く倒三角形である。ホウライシダの広い扇形とは明らかに相違する。
元禄四年(一六九一)箱根を越えたドイツ人ケンペルは、箱根の人々がこの草を薬用として採取していると述べる。天保一二年(一八四一)の『新編相模国風土記稿』は、これが箱根の街道みやげに売られていると記す。また貝原益軒は万葉集の和草をこのハコネグサに比定したが、私は『万葉集足柄箱根歌』(一九九六)で、和草はチガヤであることを考記した。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

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