西さがみ・路傍の花 2017年06月02日号

西さがみ・路傍の花 [486] ニオイタチツボスミレ -すみれ科-

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普通種のタチツボスミレの花色は淡い紫だが、こちらは写眞のように濃色でよく目だつ。
花弁もタチツボより広く丸く、花心がことさら白色なので、花弁の濃色とのコントラストが、この花をいっそう美しく見せている。葉や茎など全体に短い白毛があって、葉の先端もタチツボほど鋭くはとがらない。
箱根では駒岳など髙地の草原に普通に見るが、中腹では稀でそれなのに真鶴半島では数箇所で見かけた。この半島の先端の番場ヶ浦では、河線に近く玉石ばかり多い場所のハマエンドウの群落に隣接して、この海岸性のニオイタチツボは点在していた。山地のそれより花も葉も大形で見ごたえする一型であったが、絶滅して今は亡い。
その後県立博物館の髙橋秀男氏が三浦半島の海岸からハマニオイタチツボスミレ(新称)を発見しているが、恐らく真鶴と同型のものと私は考えている。
(箱根カルチャー主宰   田代 道彌)

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