西さがみ・路傍の花 2017年06月16日号

西さがみ・路傍の花 [488] ムラサキツメクサ -まめ科-

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四つ葉のクローバーを探すのはシロツメクサだが、こちらは茎が立ち上りそして花が紅色なのでムラサキツメクサと呼ぶ。もっともいわゆる紫色ではないので、別にアカツメクサの和名もある。
ツメクサは詰め草で、江戸時代長崎の出島にオランダ本国から荷物が届くと、箱の中に緩衝材として干草が詰められていた。オランダと云えば牧畜の国だから、もちろんその干草は牧草であるに決まっている。葉に半月の白斑が入るので人の爪を連想して爪草だなど云う人があるが、思いつきも甚だしい話である。
箱根では仙石原に多いが、これは明治一四年頃から渋沢栄一と三井の鈍翁益田孝とが共同で「耕牧舎」を開業したことに起因する。
最盛期には牛二百頭、馬百頭位いて、その飼料にこれらツメクサ類も輸入されたのであろう。今年はその鈍翁生誕一七〇年に際会する。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年06月16日号