西さがみ・路傍の花 2017年08月18日号

西さがみ・路傍の花 [491] ミツバウツギ -みつばうつぎ科-

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うつぎは空木の意味らしく、幹の中心部が空洞になっているとみな空木の名をつける。だから卯の花というウツギやマルバウツギなどゆきのした科から、ハコネウツギやタニウツギなどすいかずら科をはじめ、園芸種のフジウツギを含むふじうつぎ科など、分類学的な類縁関係には全くおかまいなしに、うつぎの呼び名は幅が広い。
そのようににぎやかなうつぎの中で、日本には一属一種しかなくひとり孤立しているのがこのミツバウツギだ。
西さがみでは海岸を除く里山から箱根など山地に普通に見るが、本来は林縁のような半日陰の土地を好む。葉が三箇の小葉に分れているのが、うつぎと呼ばれる木々では著るしく目立つ点である。春にこの若草を摘んで食用にする。花の後に扁平な蒴果が垂れ下るが、
二箇が向き合っていて、
その姿はカエデ科の種子を連想させ、両者は無縁ではないらしい。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年08月18日号