西さがみ・路傍の花 2017年09月22日号

西さがみ・路傍の花 [493] カナウツギ -ばら科-

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箱根では湯本・塔の沢間の「凾領洞門」の周辺にも分布するが、それより上部へかけてブナ帯の中の岩場に多く見る。髙さ二m内外の樹木だが細い幹が多数林立して、それを水平にさしのべ、または垂れ下ることが多い。
分布は神奈川・山梨・静岡の三県を中心にして一部近畿地方にまで伸び、このように太平洋岸の東海地方に集中する。ただし不思議なことに飛び離れて秋田県と新潟県の一部にも分布している。
桐箱を作る時に、一般には竹釘を使うが、上等の箱はこの材で釘を造ると聞いた。それが正しければ鉄釘を略してカナと呼んでいるのであろうか。
学名はフランス人のフランシェーとサヴァチェニ人の命名だが、その原標本は田中芳男が箱根で採集したものに據っている。田中は後に国立上野博物館や上野動物園の開設にも尽力し、後年その功により男爵になっている。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年09月22日号