西さがみ・路傍の花 2017年10月13日号

西さがみ・路傍の花 [494] ハコネギク -きく科-

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箱根に限って自生するわけではないが、分布の範囲はそれほど広くはない。南アルプスの一部や山梨県の三ッ峠山、それから日光のいろは坂などで、私は見た記憶がある。
箱根では駒岳や神山それから双子山など、山上の草原に沢山咲いている。ただひとつ不思議なのは、箱根では写眞のように大きな株になってクッション状で豪華だが、他の山地ではこのような姿にはならない。一般に茎が数本寄り添うように立っているのみで、いかにも淋しい風情である。
しかしどうして箱根とは草姿が相違するのか、それがよく分らない。
ハコネギクは牧野富太郎博士が箱根の駒岳で注目し、最初はノコンギクの変種として発表したが、後に独立種に改めた。花はほぼ白色に近いが、時にやや淡紫色を帯びることがある。花の総苞片の先端が、触れると粘るのが何よりもの特徴である。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年10月13日号