西さがみ・路傍の花 2017年11月24日号

西さがみ・路傍の花 [496] カセンソウ -きく科-

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湿原やそれに続く草原に咲く。そこで方言では「やちぎく」・「やつぎく」というが、それは谷地または谷津に咲くからであろう。花は直径四㎝ほどでかなり目立つので、「むらぎく」と呼ぶのは村菊の意味かも知れない。
また家菊との相違は葉の形にあり、こちらはその幅が狭いので「やなぎぎく」とも云う。
牧野植物図鑑の旧版をみると、カセンソウの和名について「和名ハ歌仙草ノ意ナリ」と簡単に片付けている。しかし全国の方言にも歌仙と結びつける呼び名は見当らないし、それにいったいどこが歌仙なのであろうか。
よく似た花にオグルマがあって少しまぎらわしい。花は直径三㎝ほどでカセンソウよりやや小形だが生育環境も草姿もよく似ている。
とりあえず花期に茎の基部まで葉がついているのはオグルマで、カセンソウはその頃茎の下部の葉は枯れている。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年11月24日号