小田原城さんぽ 2018年03月09日号

小田原城さんぽ [183] 南曲輪(みなみくるわ)石垣

2018/03/20

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=石垣の石の積みかたを観察する=

写眞は城内の星崎記念館と郷土文化館の建つ「南曲輪」の、その南側の石垣である。御感の藤に沿う蓮池の対岸の石垣と云ったほうが早いかも知れない。
関東大震災によって、江戸時代に築かれた小田原城の石垣は、一箇所も残らずすべて崩壊した。ところが本丸のへりに積まれていた鉢巻石垣のうち、南側の一部が崩れずに広い範囲にわたって南曲輪に滑り落ちて、小規模な石垣の折れや稻荷型排水石組を伴って現存している。星崎記念館前の石垣がそれである。江戸時代石垣はこの部分だけ奇跡的に残った。
震災後これらの石垣が復旧したのは昭和七年である。二丸石垣は髙さを低くしたので往年の雄姿は偲ぶべくもない。こちら南曲輪の石垣も城石垣としては応急工事のようで、やがては積直しが必要となろう。とりあえず現在、写眞のように二種類の積み方が並んでいるので、比較観賞してはいかがであろうか。

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(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2018年03月09日号