小田原城さんぽ 2018年04月06日号

小田原城さんぽ [184] 山王神社

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=地名・社名とも庚申にちなむか=

山王神社はもとは海に近い位置に祀られていて、社伝によると慶長一八年(一六一三)津波で流され、そのため現在地に遷座したという。この移動は神社だけでなくて集落にも及んだらしく、字名の新屋(しんや)はこうして新らしくできた地名だという。
山王と聞けば琵琶湖畔の日吉大社が連想されるが、『新編相模国風土記稿』によると、この社の祭神は庚申とそれから釈迦・阿弥陀・薬師の三尊である。このように庚申を筆頭に算えているのは、庚申つまり青面金剛が本来の祭神であったことを類推させる。この像は必らず足元に見ざる・聞かざる・云わざるの三猿が並んでいて愛らしい。そして稻荷の神使が狐であるのに対して、日吉神社には猿が付属している。
江戸時代城内にも街道にも馬が集るところには必ず猿が飼われていた。この地が山王と呼ばれるのは、恐らく街道交通・馬・猿につながっていたからであろう。

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(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2018年04月06日号