西さがみ・季節の花ノート 2018年06月01日号

西さがみ・季節の花ノート [No.4] ムラサキタンポポ -きく科-

2018/07/25

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人にも二重人格ということがあるそうだが、ムラサキタンポポも季節によって二つの種名を持っていて、春には小さく可憐な花なのに、秋には全く違った呼び名になる点が珍らしい。
まず春のムラサキタンポポは写眞のように草丈は一〇㎝←内外で、花の直径は約一・五㎝←ほど。花色は紫と云うよりは暗紅色に近いが、中には白色の花もある。とにかくこのように春には菊型の花を咲かせている。
やがて夏から秋にかけて葉は大きく伸長し、その葉の中から髙さ三〇-五〇㎝ほどの花茎を立て、その先端に閉鎖花をつける。小さな槍を林立させた姿だから、それでこの時期にはセンボンヤリと呼ばれる。
しかし秋のこのセンボンヤリは開花しない。
蕾の中で結実して、成熟すると冠毛をつけた種子が風に乗って四方へ散って行く。だから閉鎖花というが、髙い花茎は種子を遠方に飛ばせるのに貢献している。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年06月01日号