2016年11月18日号 西さがみ・路傍の花

西さがみ・路傍の花 [472] ボタンキブネギク -きんぽうげ科-

2016/11/28

ボタンキブネギク
きんぽうげ科だから花弁はなく、花と見えるのは萼片である。中国原産の種類だが、その中で重弁のものが室町時代頃日本へ入り、逸出して各地の人家周辺に野生化している。それをシュウメイギクと呼ぶが、京都貴船付近にも多かったのでキブネギクの名もある。
自生地の中国で私は四川省や雲南省で毎日のように原種を見てきたが、基本的に単弁で花色は濃い。
日本へ入った重弁で淡紅色の型はどこかで栽培されていないかと探したが、これは徒労に終わった。
日本の重弁品と、台湾にあるタイワンシュウメイギクとを交配して、単弁の花つまりボタンキブネギクを作出したのは英国である。中国の単弁の原種は当然結実するが、日本へきた重弁品は雄しべを欠くので結実しない。英国製のボタンキブネギクも別種どうしの交配のためらしく、やはり結実しないようである。

(箱根カルチャー主宰 田代 道彌)

-2016年11月18日号, 西さがみ・路傍の花