西さがみ・季節の花ノート 2018年09月28日号

西さがみ・季節の花ノート [No.10] ハコネシモツケソウ -ばら科-

2020/06/03

Kisetsu_no_Hana_Note-010_hakoneshimotsukesou近似種にやや大形になるキョウガノコがあるが、これは園芸植物で、まだ自生地は発見されていないという。またばら科には木性のシモツケ属と草本のシモツケソウ属とがあって、属が相違するから類縁はないけれども、同じ紅色の花で花色も姿もよく似ている。
一説にこれらの花はもと日光など下野の地方から江戸の園芸界へ持ち込まれ、それでシモツケと呼ぶという。しかしそれならばなお、
その時のシモツケは木の種類かそれとも草のシモツケソウか、どちらであったろうか。
草のシモツケソウは箱根など太平洋側の山地のものは全体が小形化し、葉は写眞のように葉柄の先端の頂小葉は五裂して大きく、その下部の葉柄には側小葉が対生して基部まで隙間なしに続いている。
故牧野富太郎博士は箱根の側小葉の密生するこの型を区別し、ハコネシモツケソウの品種名を与えていた。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年09月28日号