西さがみ・季節の花ノート 2018年11月02日号

西さがみ・季節の花ノート [No.12] ビランジュ -ばら科-

2020/06/09

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千葉県を分布の北限とし、四国・九州より沖縄をへて台湾などに自生する。写眞に見るように葉はサクラ類の葉そのものだが、珍らしく常緑で厚くそして光沢がある。花は白色でやや小さく、ウワミズザクラやミヤマザクラが連想される。ただし花期は秋で、西さがみでは九月下旬から一〇月上旬に開花することが多い。
西さがみは分布の北限であるにもかかわらず、株元周囲六米という巨樹が早川にあり、早く大正十三年に国指定天然記念物になっている。箱根ターンパイクを早川から登って最初の陸橋の下に、その木へ行く細道がある。
若い木なら早川観音堂の北側、同じく早川海藏寺参道、小田原城内の図書館前、南足柄市三竹神社境内などに点在している。樹皮は自然に激しく剥離して木肌は赤染し、それは人が賭博に負けて衣類を剥がれて赤裸になるのに似るので、別名バクチノキとも云う。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年11月02日号