西さがみ・季節の花ノート 2018年11月30日号

西さがみ・季節の花ノート [No.13] ウスユキソウ -きく科-

2020/06/09

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エーデルワイスと同じレオントポディウム属の花である。この属の多くは髙山植物で、ウスユキソウもまた髙山にまで分布する。
しかし神奈川県下では丹沢箱根とも髙山に達しないから、いわゆる髙山植物帯はない。ただウスユキソウなど髙山に進出している種類の一部が、わずかに丹沢や箱根の髙地に遺存するのを見るのである。
そのウスユキソウは丹沢にはかなり多いが、箱根では金時山にのみ分布していた。以前は仙石原側の岩場にも多かったが、ここからみおろす仙石原に建物が増えるのに反比例して、ウスユキソウは減退した。今は北側斜面に一部残存するのみである。
このように箱根の山々には見ないのに、金時山だけに分布する種類は少くない。イワシャジン・ソバナ・タンザワヒゴタイ・ヒトツバショウマなどもそれで、金時山はこのように丹沢と富士との植物相をつなぐ、回廊の役目を果している。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年11月30日号