西さがみ・季節の花ノート 2018年12月28日号

西さがみ・季節の花ノート [No.15] ワビスケ -つばき科-

2020/06/16

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日本の野生の椿は太平洋岸と日本海沿岸にヤブツバキが分布し、日本海側の多雪地帯には別種のユキツバキが自生している。この二種が自然交配したものが現在の多彩な園芸椿の基本になった。
チャは同じつばき科ではあるがツバキとは別種である。ところがこの二種の交配した間種が存在し、それを古くからワビスケと呼んできた。花色により白侘介(しろわびすけ)、淡紅色の紅(べに)侘介、紅と白色の胡蝶(こちょう)侘介などがそれだが、別に黒侘介と呼ばれているものはヤブツバキの濃色型なのでこれは算えない。戦後にはさらにいくつかの間種が作出された。
間種はつまり異種交配により成立したものだから、自然界では子孫の存続が許されない。ウマとロバの間種ラバも、トラとライオンの間種タイオンやライガーも、二代目はできない。侘介も花は雄しべが退化していて、結実することはないのである。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年12月28日号