西さがみ・季節の花ノート 2019年01月11日号

西さがみ・季節の花ノート [No.16] ヤツデ -うこぎ科-

2020/06/16

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足柄地方の方言ではテンゴッパだが、恐らくは天狗葉のなまったもので、大雄山最乘寺の天狗像が手に持っているあの天狗の羽うちわ、あれに葉の形がそっくりなことからきた呼び名であろう。
うこぎ科と云えば草ではあるがウドも同じ科に属し、なるほど花の咲きかたつまり花序はウドもヤツデもよく似ている。しかしウドは盛夏に咲くのに対して、こちらヤツデは初冬の花である。そう云えば同じうこぎ科の常緑性のつたの一種キヅタ(フユヅタ)も初冬に咲くし、栽培品のカミヤツデもやはり暮末ごろに花を咲かせる。
しかしこれら各種も昆虫類に花粉の媒介を依存しているいわゆる虫媒花である。晴天の日などこの花に近づいてのぞいて見ると、寒い季節に入っているのに、数種類のハチやハエの仲間が、花粉を求めて去来しているのが観察できるであろう。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年01月11日号