西さがみ・季節の花ノート 2019年04月12日号

西さがみ・季節の花ノート [No.21] ミツマタ -じんちょうげ科-

2020/06/16

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じんちょうげ科ではあるが花に芳香はない。そのため栽培はされてはいるが、むしろ和紙の原料とされることが多いのではなかろうか。
もと箱根から伊豆にかけては野生のサクラガンピが製紙原料とされ、それを伊豆で生産していたので『修善寺紙』と呼んだ。江戸でもよく知られた和紙である。
箱根の大涌谷など、現在噴煙のため立入れない樹林の中などに、かなりの株のミツマタが見られる。この種類は本来中国南部からヒマラヤにかけて自生していて、日本に渡来したのは慶長年間という。
だから西さがみで半自生状態で見られるミツマタは、恐らくは栽培品が逸出して、そして野生化したものに相違ない。しかし四国の山村などでは現在もミツマタを栽培しているのに、西さがみではミツマタ畑など見たことがない。修善寺紙との関連も併せて、栽培はいつ頃の事であろうか。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年04月12日号