西さがみ・季節の花ノート 2019年06月07日号

西さがみ・季節の花ノート [No.24] イワガラミ -あじさい科-

2020/06/16

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アジサイ科の中にはつる性のものがあり、ヒドランジア(アジサイ属)のツルアジサイと、別属イワガラミ属の本種もそれである。これら各種の花は多数集合して半球形の花序を作り、その周辺に昆虫を誘うためのデコレーション、つまり装飾花を点綴している。装飾花だから雄しべ・雌しべを持たず、結実しないのは当然である。
中央に集合している両性花が、昆虫の媒介によって結実すると、装飾花は花を反転下垂させて昆虫に店じまいを告げている。看板は裏返されたのである。突然変異で装飾花のみになった園芸種は、だから種子は出来ない。
アジサイの装飾花は花弁状のものが普通には四片が集っているが、こちらイワガラミは写眞のようにハート状の白色片が一箇つくだけである。つる性なので木にもまつわって登るが、さらに日照の強い場所にも出て、つまりイワガラミなのである。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年06月07日号