西さがみ・季節の花ノート 2019年07月05日号

西さがみ・季節の花ノート [No.25] ヒメヒオウギ ズイセン -あやめ科-

2020/06/16

季節の花ノートP-025_ヒメヒオウギズイセン
西さがみではどこにでも見かける花で、花の橙赤色がことさらよく目立つ。しかしその名を知らない人が多いのは不思議な程である。
小田原の方言名ではこの花は「金魚草(きんぎょそう)」であった。この名を私は子供の頃に祖母から教えられたが、今考えると、金魚の体の橙赤色とこの花色とはよく似ていて、「金魚草」はけだし適称であった。
原産地は南アフリカとされているが、野生種ではなく早く雑種になって各地にひろがった。日本へは明治中期に園芸植物として輸入され、その当時の呼び名はモントプレチアであった。
和名のヒオウギズイセンとはやはり南アフリカ原産の植物で、根生葉のつき方が桧扇に似て、黄橙色の花は水仙に似ている。本種は全草がそれより小形なので姫を冠称する。しかし現在園芸界でヒオウギズイセンと呼んでいるのは、ワトソニアというグラジオラスに似た一群の花のことである。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年07月05日号