西さがみ・季節の花ノート [No.26] オヤマシモツケ -ばら科-
2020/06/16
シモツケは木本、シモツケソウは草本だが、どちらも淡紅色の小花を多数集合させて咲く。双方ともその和名の由来は不明だが、『牧野植物図鑑』は最初下野国(栃木県)で見つけられたのでシモツケ、それに似て草本だからシモツケソウの名があるらしいと云っている。
西さがみではシモツケソウは意外に人家の近くにまで自生していて、云わば里山の植物に含められるであろう。これに対してシモツケソウはやや山地性の種類で、シモツケほど普通種ではない。
だからシモツケほどの普遍的な植物が、はじめて日光など下野の地で発見されたというのは話に無理がある。私は江戸時代に下野あたりの野生品が、切花として多量に江戸へ運ばれたとしたら、この名はその当時のものと考えたことがある。箱根の駒岳など髙地から富士山の中腹にかけては小形化して愛らしい型が多く、それをオヤマシモツケと呼んでいる。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)