西さがみ・季節の花ノート 2019年10月18日号

西さがみ・季節の花ノート [No.29] シュウメイギク(キブネギク) -きんぽうげ科-

2020/06/16

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中国原産だが、中国ではあまり栽培されず、その代り野外には自生品が充満している。しかしすべて花は単弁つまり一重で、日本のもののように重弁品はない。日本へは室町時代にこの重弁品のみが輸入されたらしく、中国の庭園などで重弁の花を探したが、私はまだ発見したことはない。
和名は秋明菊。京都の貴船山付近で早く野生化したらしく、それでキブネギクともいうが、とにかく日本人は重弁の花しか知らない。
台湾にも白い単弁の花が自生し、それをタイワンシュウメイギクという。台中から花蓮へ抜ける横断道路でも髙地の路傍に咲いている。英国で日本の重弁品と台湾のこの単弁とを交配して、単弁で淡い桃色の気品のある花を作出した。種名もアネモネ・エレガンス。全く日本人向きの花だから、英国に先を越された恨みはぬぐえない。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年10月18日号