西さがみ・季節の花ノート [No.32] イソギク -きく科-
2020/06/16
いわゆる荒磯と砂浜とを区別して云えば、小田原の旧市内の海岸から東の西さがみ一帯は砂浜ばかりである。それより西へ早川を過ぎて石橋・米神からは山が海に迫ってきて荒磯が始まる。小田原ではその一帯を望見して横磯と呼んできた。
そしてイソギクはその和名の通りに、西さがみでは砂浜に自生しない代りに、その横磯から伊豆半島一帯にかけて分布している。
花は菊の一般例から外れ、花弁がない。普通は外周を取り巻いて花弁のある舌状花が並ぶので、これは目視により算えられる。イソギクはこれを欠き中心に花弁のない管状花が集合するのみである。そこで写眞のように管状花が舌状花の役目まで担うらしく、舌状花はなくても花は美しい。
三浦半島のイソギクの中には付近の墓地の供華の家菊と交雑するらしく、ちょっぴり僅かな花弁をもつハナイソギクを見かけることがある。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)