小田原城さんぽ 2018年10月05日号

小田原城さんぽ [190] お鐘の台『蓮船寺』

2020/06/26

odawarajyo-sampo190_rensenji
=北条氏重臣井出家の菩提寺=

寺はもと板橋見付の惣構堀の西側に存在した。戦後東海道新幹線の開通に先立って、現在地に移転をした。
『新編相模国風土記稿』によると、開基は北条氏家臣井出内匠正国(たくみまさくに)で、没年は天正八年(一五八〇)である。この井出氏は小田原開城後は氏直・氏規に従って河内国に移り、狭山北条氏を支えてきた。
昭和五一年二月のことだが、髙野山髙室院で北条氏資料を拝見しての帰途、狭山町を訪問した。小田原からの客というので町長・助役・教育長がおそろいで町内遺跡をご案内くださり、各位の北条氏憬慕の深さに、ことごとに私は感銘した。
途中重臣のご子孫の井出俊一氏宅にもお招き頂き、ここでも多数の古文書を拝見した。その中に井出内匠信當(のぶまさ)の名があったが、彼は享保十三年(一七二八)に蓮船寺に新らしく墓石を建立した人だ。蓮船寺は今も続くと申しあげたら、井出氏も感慨は深そうであった。
odawarajyo-sampo190_rensenji_map
(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2018年10月05日号