小田原城さんぽ 2019年11月22日号

小田原城さんぽ [201] 小田原城『鉄門(くろがねもん)』

2020/07/08

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=忘れられた本丸城門=

小田原城本丸には二つの城門が存在した。一は戦後に未完成ながらも復元された常盤木門で、ただし図にも見える渡多聞櫓北側の北多聞櫓は復元されず、また西・南の各多聞櫓も屋根裏は未完成のままである。現在天井を張って隠すが、矢倉というからには槍や弓を収納する時天井に当り、敵を迎撃するにも天井につかえて弓が引けない。改修工事の策定が切望される部分である。
いまひとつの城門は鉄板や鉄鋲で門扉が飾られていたので、鉄門(くろがねもん)と呼ばれた。表門の銅門に対する呼称である。位置は本丸の中央から北へ城米曲輪に通じていたが、関東大震災で崩壊したまま忘れられた存在になっている。
しかし本丸北斜面の急崖に石垣を積み、その中に城門を開くので「埋(うず)み門」の形式に近く、復元されたら城内景観の目玉のひとつになるであろう。惜しむらくは、その位置が今は公衆トイレである。
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(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2019年11月22日号