小田原城さんぽ 2020年02月14日号

小田原城さんぽ [203] 小田原城『常盤木橋(ときわぎばし)』

2020/07/08

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=原形は「はね橋」か=

本丸の表の城門は常盤木門だが、この門は下段の常盤木橋を従属させている。関東大震災で小田原城の石垣はほぼ全域が崩壊した。その後昭和初期にかけて一部積み直されたが、多くは崩壊前の姿に戻されず、復元とは云い得ない場所が目立つ。
常盤木橋もその一例で、関東大震災で崩壊する以前の橋は、図にも明らかなように、現在よりも遙かに髙い上空を渡っていた。そのためには橋を架ける双方の石垣を、現在より著しく髙く積まねばならない。復元は忠実ではなかったのである。
しかし常盤木橋は関東大震災のみでなく、相次ぐ大地震でその都度橋のレベルを降下させて来たように思われる。平和が続き將軍家の小田原入城の例が絶えてからは、それも当然であった。ただ髙い橋の初期の例は江戸城の北きたはねばし桔橋門などにあり、門の頭上には橋を捲き上げたロープの滑車が残る。常盤木橋ももとははね橋の可能性が、その髙さから推定される。
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(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2020年02月14日号