西さがみ・季節の花ノート 2021年10月01日号

西さがみ・季節の花ノート [No.40] ハコネヒヨドリ(ホソバノヨツバヒヨドリ) -きく科-

2021/10/02

ヒヨドリバナの一群は中国原産のフジバカマと同属である。この仲間は乾燥すると香気があり、中国では一括して蘭という。東洋蘭などの蘭は蕙(けい)で、エビネの一種のコケイランは小蕙蘭であったと合点する。
西さがみではヒヨドリバナ・ヨツバヒヨドリ・サワヒヨドリなど代表種だが、ヨツバは葉が三―四輪生する剛壮な種類である。ところが箱根の髙地などには葉幅が半分ほどに狭くなり全体小形化してきゃしゃな一群があり、これをハコネヒヨドリと呼ぶ。
ヒヨドリの名は野鳥のヒヨドリが人里にやってくる頃開花するからだと云うがこれは怪しい。きく科植物の種子につく冠毛には油脂があり、火打石で火花をきりこの冠毛で受けて口で吹いて火を起した。冠毛に硫黄粉をまぶしたりする。これをほくち(火口)と云い、ホクチアザミ・オヤマボクチなどその名残りである。花に来ている蝶はアサギマダラ。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2021年10月01日号