西さがみ・季節の花ノート 2021年10月15日号

西さがみ・季節の花ノート [No.41] ミズヒキ -たで科-

2021/10/19


すぐにたで科の花とは気づかないが、この長い花茎の間隔を詰めて花を集合させれば、「赤まんま」などたで科の花になろう。つまり花のつく位置の長短の差だけのことである。
写眞の花は株元を見おろす位置で見るので、花はすべて上方を向いているので赤一色だ。そこでこのうちの一本を指にはさんで花を裏返しにすると、今度は逆に白一色である。つまりこの花は紅白二色でまことにめでたい。だからミズヒキである。
しかし正式の水引きは麻を水の中で剥いで薄く伸したもので、現在でも社寺ではこの麻の水引を用いるし、民間でも改って例えば婚礼の結納などには麻の水引が用いられる。すると草の名のミズヒキは江戸時代に商業的な紅白の水引が始って以来の新称だと諒解する。
別種のシンミズヒキは茎は中空で、葉の先端と基部はミズヒキより尖り、全体にミズヒキより大形である。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2021年10月15日号