西さがみ・路傍の花 2017年01月06日号

西さがみ・路傍の花 [476] サルトリイバラ -ゆり科-

2017/01/18

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長いつるが人の背丈ほどに伸び上り、つるの途中に僅かにとげがある。バラ科の各種のように鋭く密生したとげではないのだが、薮の中にそのつるが縦横に立ち上っていて、全く前に進めない。その時はじめて、こちらも猿のように、このとげに捕まってしまったことに気づくのである。
葉は丸く広く、そのため柏餅のように食物を包むときに用いられる。伊豆でマンジュウバ、千葉でマンジュッパ、秩父でボタモチバラなどと呼ばれているのは、菓子を盛る時の名だと思われる。
漢名は山帰来だというが、実はその名はサルトリイバラではなく他種のものらしい。しかし日本ではサンキライは薬用にする時の本種の名として通用していて、それはこのサルトリイバラの根茎を煎じて、皮膚病やリュウマチスに効果があるとされているからである。
(箱根カルチャー主宰 田代 道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年01月06日号