小田原城さんぽ 2022年02月04日号

小田原城さんぽ [217] 旧松本剛吉別邸と「雨香亭」

=小田原藩「侍屋敷」の規模を伝える遺構=

西海子(さいかち)小路の東端に近く、付近はかって小田原藩の中級家臣の住む「侍屋敷」が並んでいた。ここ旧松本家別邸も幕末には郡奉行の加藤家の屋敷で、面積は七五二坪程であった。このような邸宅がこの一円には並んで屋敷街の景観を保っていた。
ところが戦後にこの規模の屋敷は次第に細分化され、現在では旧望月軍四郎邸・旧田中光顕邸(小田原文学館)など一部を残すのみとなった。城下の屋敷街が消えて行くのは淋しいことである。
郡奉行加藤邸は明治の元老山県有朋の側近の一人松本剛吉が別邸として継承した。当時の建物は関東大震災で被災し、現存のものはその後の新築と見られている。
茶室「雨香亭」が付属するが、それにしては巨大な石灯篭が散在して庭にも露地の景観にも全くそぐわない。地震にも危険なので、早く整理されることが必要と思われる。
※【写真】旧松本剛吉別邸


(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2022年02月04日号