西さがみ・路傍の花 2017年04月14日号

西さがみ・路傍の花 [483] ニワゼキショウ -あやめ科-

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高さ一〇cmあまりの小さな植物だが、芝生の中などに一面に咲くとかなり見ごたえがある。花色は写眞のように紫色が目立つ型と、むしろ白色に近く見えるものとの二型がある。
北米原産の帰化植物で、明治二〇年頃に日本へ渡米したという。(牧野植物図鑑、一九四〇)。属名はシシリンチュウムでこれはリンネの命名である。
私がまだ小学校に入る以前、現在の小田原城の銅門の付近が、県立女学校の校門の位置で、黒塗りのその木造の校門の根元の芝生の中に、この花は咲いていた。私を遊ばせるのに連れだっていた祖母は、この花の名を私に「なんきんあやめ」と教えた。
祖母は小田原の早川口で生まれ育ち、ほとんど一生を小田原で送ったから、なんきんあやめは確実に小田原方言である。後に私は南京とは小形という形容詞であることを知った。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年04月14日号