小田原市 歴史 ニュース 2022年09月02日号

埋葬者は地域の有力者か
小田原初の「前方後円墳」

2022/09/02

小田原市内でこのほど、「前方後円墳」が初めて発見された。8月16日、報道関係者向けの説明会が現地で行われた。

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前方後円墳は、同市城山の個人住宅建設工事に伴う発掘調査で発見。3世紀末に築造されたとみられ、県内では海老名市のものに次ぐ2番目の古さという。

大きさは縦35m、横幅25mほどと推定され、今回見つかったのはこの一部。土が盛られた「墳丘」部分は削られていたが、古墳の周りに掘られた「周溝」が前方後円墳の形をしている点、底に穴を開けた祭祀用の「底部穿孔土器」が出土している点などから、前方後円墳であると確認された。

前方後円墳はヤマト王権から承認されないと築造できず、政権との関係の深さを示す。「埋葬者は地域を治めた有力者だろう」と市学芸員。現場は高台の丘陵地にある。当時はふもとの集落からこの一帯がよく見渡せ、有力者の墓として人々のモニュメントのような存在だったと考えられる。周辺では、過去にも装飾品のガラス玉などが見つかっている。

一方、遺構としての状態は良くなく、市では文化財指定などは行わない方針。記録を残し、8月中に埋め戻された。今後は、来年秋の「最新出土品展」で調査結果を公開予定だ。


▲発見された遺構。白線で囲まれた部分が「周溝」で、右側が「墳丘」。

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