小田原市 文化 コンサート・公演・映画 イベント情報 ニュース 2022年12月02日号

江之浦の海に着想を得た、海の女神の物語
新作能「媽祖」が小田原で公演

2022/12/02

小田原三の丸ホールで来年1月15日(日)、新作能「媽祖(まそ)」が開催される。江之浦の海に着想を得て生まれた、能楽師・片山九郎右衛門さんによる話題作。三の丸ホールの空間を生かした劇場版として、新たな内容で披露される。

媽祖は、台湾など東アジア一帯で信仰を集める航海の女神。中国・宋に実在した官吏の娘、黙娘(もくじょう)が神となったものと伝わっている。作品は舞台を奈良時代に設定して、今年4月に京都観世会館で初演された。

発起人は、企画・演出・出演を務める能楽師の片山九郎右衛門さん。コロナ禍で海外との交流が制限された中、かつて台湾の友人から提案された媽祖を題材に、海を越えて人々をつなぐ作品を作ろうと親交のある小説家・玉岡かおるさんに原作を依頼した。

作品の着想は江之浦の海に得たという。現代美術作家・杉本博司さんの文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」(同市江之浦)を訪れた際に光学硝子舞台から見た景色との出会いが契機に。小田原公演は杉本さんが映像監修を務め、作品が舞台に登場。出演は片山さんのほか、野村萬斎さんら豪華キャストが揃う。
 
11月1日には片山さん、玉岡さん、台湾文化に精通する美術作家のやなぎみわさんによるトークイベントが三の丸ホールで開かれた。

玉岡さんは「普通の女の子が神となり人を救い、海の外へとつながっていく物語」と作品を紹介。小田原公演にあわせて内容を作り変え、「太平洋編としてさらにスケールが大きくなる」とインタビューに答えた。現代人にも分かりやすい表現を工夫し、小田原の地名なども取り入れたいという。「あまねく普遍的な愛と慈悲を感じてほしい」と語った。

大ホールで午後2時開演。全席指定で1万3,000円~4,500円。25歳・18歳以下の券も。三の丸ホール窓口とウェブ等で販売中。問合せはTEL.0465-20-4152同ホール(第1・3月曜休)へ。


▲新作能「媽祖」イメージ(C)tsuranari.com

----------------------------------

舞台で使用される能面が「ういろう本店」(小田原市本町)に併設の外郎博物館で展示中。1月10日(火)まで。10時~17時。入館無料。水曜と第3木曜、12月31日と1月1日は休み。

-小田原市, 文化, コンサート・公演・映画, イベント情報, ニュース, 2022年12月02日号