西さがみ・季節の花ノート 2022年11月04日号

西さがみ・季節の花ノート [No.53] シュウメイギク(秋明菊) -きんぽうげ科-

欧米ではジャパニーズアネモネと呼び、つまりキク科ではなくてアネモネの仲間として知られている。原産地は中国で、現在でも四川省や雲南省を旅すると、連日野生の本種を見て歩くことになるが、不思議なのは日本に来ている重弁花(八重咲品)にお眼にかかったことがない。
恐らくは極めて稀な重弁品が発見され、それが珍重されたあまり日本にも渡来して、日本ではすでに半野生化している。京都の貴船に多かったのでキブネギクの別名もあるが、逆に中国ではその稀な重弁品を見ることが、私にはできなかった。
台湾の髙地にも純白で五弁のタイワンシュウメイギクがあって、英国では日本の重弁品と五弁のタイワンシュウメイギクとを交配させて、五弁で淡紅色の美しい園芸品種を作出した。園芸名はエレガンスで、口惜しいが日本でもこれが普及しつつある。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2022年11月04日号