西さがみ・季節の花ノート 2018年03月30日号

西さがみ・季節の花ノート [No.1] キランソウ -しそ科-

Kisetsu_no_Hana_Note-001_Kiransou

西さがみでは路傍の石垣などに普通に見られる。タツナミソウなどと同じしそ科だが、キランソウは茎が這うばかりで直立せず、葉腋に濃紫色の花をつける。石垣の輻射熱を受けるらしく、西さがみでは意外に早くから開花しているであろう。
キランソウの漢字もまたその意味も全くわからない。ただ西日本の本種の方言に、イシャゴロシ、イシャタオシ、イシャナカシなど医者が出てくるので、恐らく薬用植物ではなかったろうか。
そこで『中国髙等植物図鑑第三冊』を披いたら、現在の中国名は金瘡小草で、直訳すれば切り傷の薬だ。また記文には内因性の皮膚疾患にも効くとある。また同属近縁種には感冒はじめ呼吸器の病気に効くものがある。日本ではキランの文字もその意味さえ忘れ去られたが、医者殺しなどぶっそうな方言が、薬用植物時代の恩恵を、今に伝えているように、私には思われる。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2018年03月30日号