西さがみ・路傍の花 2017年02月17日号

西さがみ・路傍の花 [479] モクレイシ -にしきぎ科-

robo_no_hanaP-479_mokureishi
常緑の小髙木で、年の暮から三月頃までは写眞のように赤い実をつけている。その実は緑色のさやに保護されていて、そのさやが縦に裂けるのが、ことさら著しい特徴である。
注目されるのはその分布の姿で、房総半島の南端とついで本県の大磯から国府津の丘陵地帯にあり、秦野市の千村(ちむら)付近が分布の北限になるらしい。
本州のそれ以西には分布せず、ずっと飛んで九州の南部以南に出てくる。
これに似た分布を示すものは以前に修善寺紙の原料になっていたサクラガンピで、これは小田原の入生田付近から伊豆半島に分布するが、西ではやはり九州南部まで行かないと見ることがない。二種ともに地球が温暖な時代に分布域を北上させ、ついで寒冷になるにつれて暖かい相模湾岸や伊豆にのみ残り、他は九州以南に定着する結果になったものであろう。雌雄別株である。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2017年02月17日号