西さがみ・季節の花ノート 2022年08月19日号

西さがみ・季節の花ノート [No.50] ツルフジバカマ -まめ科-


夏から秋にかけて陽当りのよい路傍などに咲いている。写眞はJR二宮駅の近くで見かけた時のものである。
江戸時代、貝原益軒の著『大和本草』に蔓藤袴とあるので、これが和名の意味らしい。たしかに茎は蔓性だが次の藤袴は全く解らない。フジバカマはきく科の直立する草で、ツルフジバカマとは縁もゆかりもないのである。
ツルフジバカマは中国にも分布するので、とりあえず『中国髙等植物図鑑』一九七二年を見たら、あちらでは透骨草と呼んで全草を薬用にするという。
そこで私案だがツルフジバカマの袴は、漢方薬の馬蝗(ばこう)の訛ったものではなかろうか。中国で薬用植物とされる同じまめ科の山馬蝗(さんばこう)や馬蝗(ばこう)のばこうと、ばかまとの発音の類似から思うのである。すると日本でも以前は、ツルフジバカマも薬草の一種であったのかも知れない。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2022年08月19日号