西さがみ・季節の花ノート 2022年11月18日号

西さがみ・季節の花ノート [No.54] ノコンギク -きく科-

2022/12/02

春のヨメナと秋のノコンギクと、花の印象や葉の形態はよく似ている。しかし花の終ったあと種子の頭を見ると、ヨメナは種子の先端にほとんど毛がないが、ノコンギクの種子には長毛が密生し、だから上からのぞいた位では、種子が見えない。
ノコンギクは野紺菊の意味で、野生品の中で突然花色の濃色が出現した時、これを保存して紺菊の名で珍重した。他はすべて野の紺菊すなわちノコンギクになるのであった。
ノコンギクは日なたの花で従って淡青紫色に咲く。色は昆虫を招くのであろう。これに対して林の中など暗い場所で純白に咲く近似種があって、シロヨメナと云う。林の中では白色が昆虫には目立つことを知っているらしい。しかし種子を見ると長毛を生じているから、シロヨメナとは云ってもヨメナには縁がなくコンギクに近い。種名は学名以外、系統を示すことのない一例である。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2022年11月18日号