2023年01月06日号 小田原城さんぽ

小田原城さんぽ [223] 八幡山

2023/01/13


=北条氏の八幡宮と大久保氏の若宮と=

県立小田原髙校のある髙台を総称して八幡山と呼んでいる。ところがここ八幡山には二箇所に八幡が祀られていたので、まずその判別をして置く必要があろう。
『新編相模国風土記?稿』によると、八幡山の八幡宮は北条氏三代氏康の勧請によるとしている。その位置は戦後の地形の改変によって不明になりつつあるが、小田原髙校へ登る百段坂の中程から、左手を望んだ時、地形がやや凹入している付近である。北条氏のこととて、鎌倉八幡宮の分靈を祀ったと思われる。
つぎは小田原髙校の校庭に入ってカシ林に近く、大久保忠世が祀った若宮八幡で、北条氏の築いた土塁上に存在した。忠世は二俣城主時代に家康の長男信康を、信長の厳命で自刃させた過去があり、小田原城主となってもここ八幡山と風祭萬松院に慰靈の場所をしつらえた。しかし八幡山の地名はもちろん北条氏八幡宮に起源するであろう。


(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

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