小田原城さんぽ 2019年08月23日号

小田原城さんぽ [198] 甲賀山上(やまがみ)の広徳寺

2020/07/07

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=北条氏の忍者山上一族のふるさと=

このシリーズ(192)で小田原城下の山上横町に触れ、山上氏は北条氏政・氏直に仕えた忍者であるらしいと述べた。その頭梁山上強右衛門久忠は北条氏から騎馬三〇騎、足軽百人を付与されていた(新編相模国風土記稿)。そして山上氏はもと甲賀忍者望月氏の分流で、同地の山上の出身なので地名を名乘ったと云う。
小田原の城と緑を考える会七月見学会に伊賀・甲賀を訪れたので、見学会の僅かな隙にその地を探索したところ、現在の甲賀市水口町にその山上の地は現存していた。背後に四〇七米の庚申山が位置し、山頂近くに延暦二年(七八三)最澄開基と伝える広徳寺がある。
甲賀には望月家を中心に忍者五十三家があって、その中にも山上藤七郎の名が見える。旅の途中で詳しい調査はできなかったが、彼等の祖先が地方へ散ったことがあったらしく、それは永祿一一年(一五六八)織田信長がこの地の六角氏を倒した時であったと思われる。

(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2019年08月23日号