小田原城さんぽ 2020年11月13日号

小田原城さんぽ [209] 表面標示『箱根口入堀(はこねぐちいりぼり)』

2020/11/20

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=北条氏時代後期の三の丸空堀遺構=

市スポーツ会館の位置には戦前から小田原商業中学校があって、戦時中は陸軍の兵舎
になり、戦後は市立城南中学校の仮校舎にも利用された。
その後昭和五二年に市はスポーツ会館の新名をつけ、以前から存在した「文武館」を
この地に移転する計画を発表した。当時市の文化財保護委員会で城郭を担当していた
私は、この地に北条氏時代三の丸の巨大な空堀が埋藏されていることを主張し、その
結果発掘調査が実施された。
当時としては建設工事が優先して、発掘は必らずしも必要ではない時代であった。ま
して誰も知らないその空堀など、あえて発掘する理由はなく、私の意見は暴論とされ
ていた。
発掘の結果私が推定したその位置に、堀幅一五-二〇米、深さ六米の巨大な三の丸空
堀が出現した。スポーツ会館の東側と裏手駐車場側とに、赤煉瓦でその位置と堀幅が
表面標示されている。
【写真】箱根口入堀(西縁)

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(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2020年11月13日号