小田原城さんぽ 2017年05月12日号

小田原城さんぽ [174] 御感(ぎょかん)の藤

2017/05/26

odawarajyo-sampo174_P_gyokannofuji
=推定樹齢一五〇-二〇〇年の老樹=

小田原で「藤棚」と言えば、だれもがこの藤のことだと思う。藤にはノダフジとヤマフジの二種があるが、これはノダフジである。
もと板橋見付に住んだ森元市藏が、これを藩主大久保候より拝領して愛培していた。明治一六年に唐人町(浜町三丁目)の西村元吉が譲り受けて自邸に移植をした。
当時小田原城は御用邸だったので皇太子時代の大正天皇は馬上からこの藤を観賞され、以来「御感の藤」と呼ばれるようになった。ついで大正十一年に小田原保勝会によって現在地の御茶壷橋脇に移された。この間に西村元吉邸より先に、一時郡役所前の枕流亭に在ったという話もある。最初から二株が揃っていたが、現在地に定植するとき田廣勝藏が若い株を一株添えたので、現在は三株ある。うち二株は昭和三二年市の天然記念物に指定された。小田原保勝会とは現在の小田原箱根商工会議所の前身である。

odawarajyo-sampo174_map_gyokannofuji
(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2017年05月12日号