西さがみ・路傍の花 2018年02月02日号

西さがみ・路傍の花 [499] ハコベ -なでしこ科-

2018/03/20

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正月七日の七草がゆに、欠かせない野草の一種である。「芹なづな おぎょうはこべらほとけのざ すずなすずしろ これぞ七草」
おぎょうはハハコグサ、ほとけのざはコオニタビラコ、すずなは蕪、すずしろは大根だから、つまりは五種が野草であった。思うに朝毎に降る霜にも耐えて生きるこれら可憐な野草の活力を、年の初めに人の体にもとり込むのが、七草がゆの今に続く理由であろう。
上の歌の中ではこべらとあるのは、現在でもハコベラは全国的に広く分布していて、むしろこちらが原型だ。その語源だが、西日本各地ではヘイヅル・ヘェズリ・ヘズルなど呼び、四国ではホーベラとも云う。寒中にハコベの茎は地上を這うので、這うが語源と私は考える。
少年の頃小鳥の摺餌に入れるハコベを、毎朝採りに歩いていた時の観察から、私はそう信じるようになった。
(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・路傍の花, 2018年02月02日号