小田原城さんぽ 2023年03月17日号

小田原城さんぽ [225] 大手広小路(ひろこうじ)

2023/03/31


=小田原の広小路そして江戸の広小路=

小田原城大手門の構成は、まず三ノ丸外堀を渡る「大手門土橋(どばし)」から始まり、ついで「大手馬出(うまだし)」、左折して「大手勢溜(せいだまり)」、右折して「大手渡櫓門(わたりやぐらもん)」をくぐることになる。そしてこの渡櫓門から二ノ丸水濠までの直線道路が、つまり「大手広小路」と呼ばれていた。
ところで広小路というと、小田原には二箇所にそれがあった。一はここ大手門内と、他は竹ノ花広小路で、竹ノ花の場合は小田原城井細田口の内側に位置して、外敵に備えた勢溜であったものが、そこだけ道幅が広い訳だから後に広小路と呼ばれるに至ったらしい。
北条時代小田原城下では、主要道路を小路と称し、これの支道を横町と呼んでいた。安斎(あんさい)小路と安斎横町、林角小路と林角(りんがく)横町などの例もある。時代が下って江戸の城下では、ことに明暦(めいれき)の大火以来、火災の延焼を止める防火帯として各所で道路を拡幅し広小路と称した。小田原の広小路とは混同できない。


(小田原の城と緑を考える会長 田代道彌)

-小田原城さんぽ, 2023年03月17日号