西さがみ・季節の花ノート 2019年11月29日号

西さがみ・季節の花ノート [No.31] イズセンリョウ -やぶこうじ科-

2020/06/16

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千両・万両など混同して呼ぶので、つい二種は近縁と思いがちだが、センリョウはセンリョウ科、マンリョウはヤブコウジ科の植物で二種ともに全く縁は遠い。そしてイズセンリョウはそのうちのヤブコウジ科に属する。
千両・万両はこのように縁の遠い種類ではあるが、二種ともに赤色の実をつけることと、西さがみは二種ともに分布のほぼ北限に近いことでは一致している。そしてイズセンリョウの分布もまた北限に近くて、よく見られるのは南足柄・小田原・眞鶴・湯河原などで、常緑樹林の中や植林地の林縁に自生している。
果実は写眞のように白色の花冠に包まれているので、赤色ではない。花は初夏に咲く
が、その後花冠が果実を包んで晩秋から冬に及ぶのである。牧野植物図鑑にはじめ熱海伊豆山神社の境内に多かったのでこの名があるとするが、伊豆山には現在も多く自生している。

(箱根カルチャー主宰 田代道彌)

-西さがみ・季節の花ノート, 2019年11月29日号